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清水の次郎長(その一)

◆不良オヤジの歴史うんちく第二部・幕末編

“お控ぇなすって! お控ぇなすって!・・・・

(オヒカエではない、オヒケェ・・・と発音する)

早速のお控ぇ ありがとうさんにござんす、

軒下三寸(のきしたさんずん)借り受けましてのご仁義 失礼さんにござんすが

これよりあげます言葉のあとさき 間違えましたらごめんなすって・・・!

手前生国と発しますは 関東に ござんす、

関東 関東申しましても いささか広ぉござんす・・・(以下略)“

Ohikaenasutte_1 オヒケェナスッテ

時代劇でヤクザ者が仁義をきるときの おなじみのセリフ

これを 最初にやったのは だれでしょうか?・・・

諸説があって 正解は定かではないが、

この挨拶の元祖は「関東の綱五郎」である。

清水次郎長に惚れ、子分になりたいと決心した綱五郎が次郎長宅へ押しかけ 

玄関の土間に片ヒザついて述べたのがこの口上である。(そんなこと知っててもエラかないけどね)

村上元三の歴史小説「次郎長三国志」によると

そのとき次郎長は博打と喧嘩に明け暮れる若冠二十六歳、

子分は桶屋職人の吉五郎(鬼吉)一人だけだった。

そこへ関東の綱五郎(大瀬半五郎)と名乗る本格的な股旅者が加わり二番目の子分となる、

以後、清水二十八人衆と呼ばれるまでに子分がどんどん増え、清水の次郎長(本名・山本長五郎)は 歴史に残る大侠客に成長してゆくのである。

ついでに清水二十八人衆フルメンバーの紹介です

清水の大政、浜松の小政、桶屋の鬼吉、関東の綱五郎、法印の大五郎、追分の三五郎、大野の鶴吉、増川の仙右衛門、相撲の常、三保の松五郎(豚松)、森の石松、問屋場の大熊、伊達の五郎、関東の丑五郎、小松村の七五郎、田中の敬次郎、清水の岡吉、寺津の勘三郎、国定の金五郎、辻の勝五郎、四日市の敬太郎、吉良の勘蔵、伊勢の鳥羽熊、小川の勝五郎、興津の盛乃助、舞阪の富五郎、由比の松五郎、吉良の仁吉・・・である。

次郎長の晩年 一声かければ 実際の動員力は数千人規模に達したそうである。

1_5   

ちなみに清水一家の参謀で元武士だともいわれた大政は 愛知県常滑の回船問屋の生まれで原田熊蔵というが、次郎長の養子となったので本名は山本政五郎、養子だから親子の間柄、これが本当の親分・子分である。

ところで 偶然であるが小政も本名は山本政五郎という。

体が大きいから大政、小さいから小政・・・と呼ばれるようになった。

五郎と付くのが多いが 自分の名前を自分でつけるヤクザ者には「五」という数字が特別な意味を持つラッキーナンバーなのか 流行のようなものだったかはよく解らないが ヤクザ者のことを「ゴロツキ」というのは「五郎付」が語源なのだと思います。

次郎長三国志では 清水の長五郎(次郎長)、清水の政五郎(大政)、桶屋の吉五郎(鬼吉)、関東の綱五郎、法印の大五郎・・・五郎が五人集まったとき

「俺たちはヤクザな裏街道を歩いてきた逸れ者だが、五郎付きが五人揃ったのもご縁があったからだ、ここらで清水一家を名乗り、世間様にも大手を振って歩こうじゃねぇか・・・」と大政が次郎長一家の旗揚げを提案する、

この五人は清水一家の発起人のようなものである。

また、みんな○○の○五郎・・・とか、何処の誰というふうに名前の前(姓)に出身地を名乗ったりするのは、この時代の氏(苗字)を持たない農民とか 親を知らない孤児、家があるのに飛び出した風来坊とか・・・過去を拗ねてヤクザの道を選んだ男たちだが ふるさとへの「望郷」とか 元の職業に対する「誇り」だけは 大切にしたかったのであろう。

乱暴者の不良少年ばかりだが ひとりひとりがみな物語の主人公になるくらいユニークなキャラの持ち主で、それを束ねた次郎長のリーダーシップが後世に高く評価されているのは 喧嘩(仇討ちや縄張り争い)に勝ち残ったからではない。

運送業や土木業などの側ら 旗本山岡鉄舟(明治維新後の静岡県知事)と親交が厚く、民衆と行政のパイプ役となり 富士山麓の開拓や茶畑の整備、その他福祉活動など地域のボランティアに尽くした。

「弱いものへの優しさ」「恩を忘れず義理を重んじる」「正義のためには権力にも怯まず立ち向かう」・・・というような日本人好みの任侠を実践したからである。

(カテゴリー歴史・日本人の心でも同じようなことを書いたが)

“旅行けば 駿河の国に 茶の香り・・・”と唄われるほど

静岡県産の「お茶」を 特産物として全国に広めたのは

山岡鉄舟の政治力と 次郎長一家の人脈や労働力が大きく貢献したのである。

お控えなすって・・・で始まるヤクザの仁義、よくよく内容を吟味すれば 

言葉は乱暴だが こんなに礼儀正しく相手を尊重する優しい言葉の挨拶はない。

もしも私が教師だったら 小中学生にこの仁義の意味を教えてやりたいね、

でも 子供が家に帰って「お控ぇなすって・・・」をやったら クビになるだろうな。

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コメント

素敵なコメントありがとうございます。 私もおしゃべりではありませんが
書き出すと止まらなくなるほうで、周囲の人たちに指摘され 出来るだけ短く区切って 読みやすくなるように努力してるつもりですけど、いつも長くなってしまいます。 それなのに読んで頂けて嬉しいです。 これからも是非お立ち寄りください、よろしくお願いします。

「無印」がいいですね、ブランドよりも中身、エルメスよりもユニクロを
お洒落に着こなす人はカッコいい、お酒は蔵出しの特級よりも二級酒の中に旨いのがある、ブルマンよりも缶コーヒーが旨いときもある・・・
また止まらなくなりそうなので このへんで・・・

投稿: myway | 2007年4月27日 (金) 15時56分

はじめまして、こんにちは! 
ラッキー・ナンバー5の無印です。(5月25日誕生日のゴロツキ?)
ポジさんの掲示板友達です。ポジさんのブログから飛んできました。
おにいちゃんの隠れファンです。

掲示板のエルメスさんほどゴージャスではないので、ブランドにこだわらない、中身で勝負の無印良品を名乗っております。

いつもお兄さんの薀蓄やご意見に、敬服したり、賛同の拍手をかげながら送ったりしています。
コメントを送りたかったのですが、根がおしゃべり(話すより書くほうかな?)なので、とまらなくなりそうで・・・

お兄さんのような社会の先生がいれば、私ももう少し日本史や世界史に興味が持てたのにと、残念でなりません。
楽しく勉強させていただいてます。
雑学大好き!

コメントが長くて、すみません。
またおしゃべりさせて下さいネ?

投稿: 無印 | 2007年4月27日 (金) 12時58分

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