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 スタンダールとオニヤンマ  その二

爺ちゃん婆ちゃんちの二日間は楽しかった。 
小学生の男の子には十分に夏休みを満喫できた。  
断片的な記憶しか残っていないが 庭のイチジクの木に沢山実がついて
甘さにひかれて集まるカナブンや蟻んこと奪い合うようにして ワイルドに食い放題だった。
雑木林で カブト虫やクワガタが集まる木をみつけて 取り放題・・・、
広い道路で 前方から飛んでくるオニヤンマと一騎打ち、 網を構えて あんなに心躍る ときめきというか 最強最大のトンボ オニヤンマ・・・、低空飛行で近寄ってくる、B29戦略爆撃機を迎撃する 日本空軍ゼロ式戦闘機の気分・・・?。  
これ捕まえたら学校へ持っていって 自慢になる。  俺ヒーローになれるぞ? ガキなりの欲望もあったのかも。
幼少の頃は 近所に学校のプールがあって 空襲で校舎が燃え、プールもため池のように荒れ果てて 草が生い茂り、ヤンマの雌の胴体をタコ糸で結んで 2mほどの長さにして空中を旋回させる、「銀よ来い、チャンがいるぞ・・・♪」これに牡のギンヤンマが絡んできて トンボ釣りである。   鮎の友釣りと同じようなもの、オトリにするチャンが採集できれば あとは牡のギンの恋心を利用するだけの取り方である。  
 
止まっているトンボを採るのに指を回しながら近づくのは なんか意味あるのか? トンボが目を回して動きが鈍ると思っている人が今でもいるから・・・
最近の若いお父さんたちは 皆 セミを見つけると 木の幹に止まっているセミを網で採ろうとする、 大きな網でおっかぶせたって セミは網の隙間から平気で飛んでいく、 セミは手でとるものである。  羽をバタバタさせるとオシッコをひっかけられる。 セミは逃げる瞬間に小便を放ってかく乱する、セミ流忍法小便隠れ・・である。 こういうことを最近のお父さんは知らない。  平成よりも 昭和のほうが 最先端の理屈にあった方法で昆虫採集をしていたのである。
 
オニヤンマとの対決、あんなに心躍る瞬間はなかった。  高いところを飛んでいても オニヤンマだと分かるほど大きくて 前方から低空で 二度すれ違った。 二度とも空振りに終わった、 彼はあざ笑うように飛び去った。  チックショー・・・と、一人で悔しがりながら 結局その日の収穫は カブト虫二匹と 帰り道に小川で捕まえたザリガニ二匹だけであった。
戦国時代、巌流佐々木小次郎は 刀でツバメを斬った、可哀そうなことをするもんだ、彼ならオニヤンマも斬れるだろう、でも斬って殺してはいけない、 現代的にいえば絶滅危惧種は保護してもらいたい のである。
俺はまだ修行が足りない、次は 鳥もちを使ってやってみよう、
子供なりに 反省したり 闘志を燃やしたりしながら 家に戻った。  大人になってから 競馬場で大穴を逃し、トボトボ帰るのと同じ心境であった。
夜は 食後、スタンダールの「赤と黒」を読んで、 なんかおかしいよ、昆虫採集で一日遊んだのだ、ファーブルの昆虫記とか ダーウィンでも読む方が勉強になったのかもしれない、と、半世紀も後になって思うのである。
婆ちゃんは おいらの読書姿を見ながら 「何読んでるの?宿題かい・・・?」
「スタンダール、赤と黒・・・・は ジュリアンソレル・・・だったかねぇ? 」
赤と黒の主人公 ジュリアン・ソレル、昔読んだのを思い出すように、 縫物をしながら さらっと ひとこと。   婆ちゃん すげえ・・・! 一発でノックアウトされた感じだった。 
 
 また ここらで休憩
 

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コメント

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投稿: myway | 2017年10月17日 (火) 13時08分

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